訪問介護ヘルパーはなぽんの日記

「訪問介護ヘルパーが伝える 実際にある介護の話」  初めまして。 私は高齢者のお宅を訪問して、食事を作ったり 身の回りのお世話をする「訪問介護ヘルパー」です。 今は、高齢の方々がさらに暮らし良い毎日を過ごすためのお手伝いをしたいと ケアマネージャーをめざして勉強中です! このブログではケアマネ受験のあれこれや、ヘルパーとして感じたことを綴っていきます。 介護の現場の最前線のお話、みなさんにとって驚くことも多いと思います。ぜひご覧下さい。

80代後半の認知症夫妻、子供なしの現実 食事編

子供がいない高齢者の食事の質

訪問先の80代後半のご夫妻。

ご主人は元国家公務員。

奥様は個人経営者だったが、お互い引退して夫婦二人暮らし。

たいそうな邸宅に住んでいらっしゃいました。

子供はいません。

二人とも、認知症ですが、お金はきちんと計算できます。

朝食は奥様が準備されます。

ヘルパーは、昼食、夕食作り、お掃除、入浴介助に入ります。

私が訪問した当初、思ったことがあります。

こんなにお金持ちなのに、食事の質がこんなに低いのは、なぜだろう、

ということです。

これから書くことは、私個人の勝手な推測です。

ヘルパーの給与水準が関係するのではないか

ヘルパーは、給与水準が低いです。そのため、富裕層宅の食料品の買い物も、

指示がないと、その辺のスーパーや、コンビニで購入します。

自分達が、購入したことのない食品は、あえて購入しないし、わからないということです。

仮に、ご夫妻が、かつては、百貨店の生鮮食品を購入するような生活を送っていらしても、誰かの指示がないと、ヘルパーは買いにはいきません。時間もありません。

中には、料理の得意なヘルパーが、気を利かせて、いい素材を購入しますが、限られた時間では買い物する店も限られます。

なぜ、私が上記のような推測をするか?というと、奥様が、「この料理、捨てていいから。肉が固い。」としょっちゅうおっしゃるからです。

でも、高い素材を購入すると、「あのヘルパーは、高いものを買ってくる。」

と他のヘルパーに言うのですよ。

高齢者の金銭感覚は、昭和に近いのではないか?

ご自身達は、戦後節約してお金を貯め、昭和を生きてこられました。

認知症になると、お金の感覚が、ご自身たちの一番活動的だった頃に近いのかな、と

私は思っています。

 

どの時点で、何をどうすれば、今よりも質の良い食生活を送れたか?

今となっては、ご夫妻が、この生活に馴染んでしまい、

私も、ご夫妻が、本来希望していた生活なのかな、と、

錯覚を起こしそうになります。

私は考えました。

おそらく、70代はお元気でいらして、ご自分達が認知症になるなど、想像もしていなかった。

現在でも、お二人はご自身が認知症であると言う自覚はありません。

甥っ子、姪っ子がいるとご夫妻は仰いますが、年に一度くらいしか訪ねてきません。

 

独身者、子供のいない夫婦は、対価を払って、生活面の「キーパソン」を作ることが、必要だと考えます。

後見人とは限りません。

もし、60〜70代の時に、自分のキーパソンを作り、食生活、調味料の好みなど分かってもらっていれば、今よりはご夫妻は良質の生活を送っていただろう、と思います。

元気な時は、まさかの備えはしませんから、覚悟がいることではあります。

 

f:id:eiko0000:20200531171110j:plain

ちょっとひと息